2009年 02月 18日
高校時代にひょんなことで出会った三人。同じ大学に進み、それぞれの道へ。 一人が一章、淡々と過ぎた学生時代を振り返り語る。 思い出を熱く語るのでもなく、あの日に帰りたいと懐かしく感傷にひたるのでもなく、三人が色濃く混ざり合うわけでもない。 けれど三人のある共通のぼんやりした思い出が彼らを繋いでいる。 出てくる三人は、ドラマの主人公のような中心になる様な人物ではなく、クラスの端っこ 窓際にいつも居るような、けれど何故か存在感があるような人物。 彼らの語る学生時代の思い出は、自分とは似ても似つかないはずなのに妙にリアルだ。 「そもそもあまりに平穏で、たいした話もない。その癖、妙に痛い気がするのだ。あの無為さ、愚かさ、平凡さが、時を超えて心の底で鈍く痛む。自意識過剰なのにコンプレックスの塊で、やっとプライバシーを手に入れたのに人恋しく、何者かになりたくてたまらないのに、足を踏み出すのは恐ろしかった。」 ゆらゆら揺らめく、ちょうど表紙に写されている影のような印象の小説。 第三章の話の構成が、変わっているけれど情景を想像し易く 面白かった。
by bookswandervogel
| 2009-02-18 00:55
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