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2010年 02月 20日

新潮2月号

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しまおまほ著 「奄美のマンマーの家で」を読んだ。
島尾家というのは祖父・島尾敏雄は『死の棘』を書いた作家、両親は共に写真家、孫のしまおまほは漫画家という興味深い家族だ。そして家族をモチーフにした作品がお互いに多いことから、結びつきや執着が他よりも強いようにも見える。

奄美にひとり住む祖母・ミホが死んだ。『死の棘』に登場する妻のモデルになった人。
夫・敏雄が亡くなったあとも喪服を着続けるなど、確かにエキセントリックな部分が多く見られるけれども、孫から祖母に向けられる視線はどこまでもあたたかい。

祖母の様子を見に帰省した際、何故か家中の鍵がかけられていて、鍵を壊してまで入った寝室に倒れている祖母を孫は発見する。
「右手をまっすぐ伸ばして、おろした長く黒い髪が綺麗に寝間着や腕や、畳の上にウェーブを描いて這っていた。・・・・ ただ、白雪姫のような、きれいな姿だと見た瞬間に思った。」

物がとにかく捨てられない人で、家を片付ける際に飼っていたインコの羽が丁寧にティッシュに包まれて出て来たり、ある箱の上にはしっかり『捨てるな』と書かれてあったり。その膨大な物の量に辟易しながらも、2年かけても片付けに終わりが見えなくても、祖母の遺した品々を手に取り家族は笑う。

実際に付き合うのは家族であってもとてつもなく面倒な人であったろうと想像するけれど、孫によって書かれた彼女はとてもチャーミングで愛おしく、数々のエピソードに笑いながらも 最後には彼女がこの世から居なくなった事実に空しさを感じた。
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by bookswandervogel | 2010-02-20 23:38


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