2010年 03月 06日
映画になった「アイデン&ティティ」と「色即じぇねれいしょん」の間の浪人時代を描いた自伝的小説。 『自分なくし』はいわば『自分探し』の反対語。 本当の自分が何処かにあると思うから「その本当の自分は、きっと今より素晴らしいはずだ」と思い込む。「どこかに自分のふさわしい場所があるはずだ」とナルシスティックな考えで自分を特別視せずに、何でもない自分を肯定して、自分ができないことを消していけば おのずとやるべきことは決まって来るという、みうらさんの持論。 けれどそれを言っているのは52歳になってかっこ良くなったみうらさんで、この小説に出てくるのは煩悩だらけの恥ずかしいくらいかっこ悪い19歳のみうら青年。 もう読んでてとにかく恥ずかしい。 彼のすることに、血の繋がった親戚のようにいちいち恥ずかしく、情けなくなる。 故郷を離れて遠くなっていく友達、新しくできた彼女、重くのしかかる両親・・・まぁ気持ちは解らなくはないけどね・・と苦笑いしながら読み進めた。 「甘やかされていたなんて一度も思ったことがないのは、人生に対し何も疑問を持たないよう育ててくれた親のお陰だ。正しいことはいつだってここにあるんだと、安心させてくれた親の愛だ。」というセリフにほろっともさせられる。 お話の間に挟まれた自作のポエム(笑)がまたベタで恥ずかしくて、とても良い。
by bookswandervogel
| 2010-03-06 01:17
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