2011年 02月 27日
プールのない砂漠で、一度も泳いだことがないという老人たちに水泳を教える『水泳チーム』、恋愛をしたことのない老人が友達に「妹を紹介してやるよ」と言われて激しい妄想が始まる『妹』、顔の痣を手術して取るが、痣とともに「何か」も消えてしまう『あざ』。 読んだことのない、不思議な感覚の十六の短編。 出てくる人は誰もが独り。誰と一緒に居ようと、孤独な気持ちを抱えた一人のひと。 自分の抱える孤独な部分を誰かに伝えることは、とても難しく、とても恥ずかしいことのようでためらわれる。 彼ら自身の孤独は、それぞれ奇妙なかたちをしていて、真剣過ぎて、とても可笑しい。 彼ら自身が思っている「自分」とは本当はすこし、というか結構かけ離れているその姿を見ているこちら側は そのずれが可笑しくて笑ってしまうが、いやいや笑ってられないぞ・・読んでいる私もそう彼らと変わらないかも・・。とだんだん読むうち気付いてくるのだ。 孤独を表現するのに「あーさみしいよう」と主人公を泣かせたりせず、笑いをもって淋しさを書いたこの作品は、独りを楽しむ読書好きにはもってこいの一冊です。
by bookswandervogel
| 2011-02-27 23:55
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
以前の記事
2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||