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2011年 07月 13日

「もうひとつの朝」

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『海炭市叙景』の復刊で20年ぶりに息を吹き返した佐藤泰志。
『海炭市』の後も次々復刊される中、ファンのさらなる熱い要望に応えて出版されたこの本は、彼の初期作品を集めたもの。

特に18歳高校生の時に書いた、鮮烈なデビュー作『市街戦のジャズメン』をどうしても読んでみたかったのでとてもうれしい。
佐藤泰志作品独特の不良性、反抗、孤独、苛酷な労働のリアリティ、汗がにおう生命力、青春という名の輝きと愚かさがむきだしに描かれている。
『兎』は文章の書き方に癖があるが、他の作品にはほとんど見られないので彼が試行錯誤して実験的に試みたことが窺える。そして彼が最も得意とするスタイルの、男二人女一人の三人で綴る物語の短篇が3作。この描き方は後の『きみの鳥はうたえる』や『そこのみにて光輝く』につながっているのだろう。
疾走感がたまらない『深い夜から』はとにかくかっこいい!文章のリズムが小気味好く、何かすごくかっこいい音楽に出会った時のような、せり上がる高揚感を感じながら読んだ。

昨年末から続いている私の佐藤作品に対する熱はまだまだ冷めようがない。
復刊された文庫のほか、クレイン刊の『佐藤泰志作品集』、今回の初期作品集『もうひとつの朝』にも収録されてない作品を、どうか本にしてください。熱望。
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by bookswandervogel | 2011-07-13 00:31


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