人気ブログランキング | 話題のタグを見る

BOOKS WANDERVOGEL

bookwangel.exblog.jp
ブログトップ
2011年 12月 08日

「終点のあの子」

「終点のあの子」_b0145178_23584285.jpg
都内にある中高一貫教育の女子校が舞台。
有名カメラマンを父に持つ朱里という女の子が高校から入学してくるところから物語は始まる。
誰とも群れず、自分の意見を常に持ち、クラスのどのグループとも仲良くできる朱里は、目立っていてだれもが気になる存在。
この朱里を中心としたお話かと思いきや、朱里からその周辺に話者は変わり、視点も変わる。

ひとりひとりを、章によってとらえるところを変えることで、各キャラクターのデスマスクに少しずつ肉付けをしていくような感覚を味わう。

例えば朱里のクラスメイトの恭子さんは、美人でスタイルも良く、彼氏が帰りに車で迎えにくるような、いつも取り巻きに囲まれるクラスの中心人物だが、他の章ではとても気が小さくて地味な性格の女の子の面を見せている。
人は多面体でできていて、また接する側の捉え方によっても、こんなに違う印象になるんだなぁと改めて感じた。

あの頃はこんなにも多感だったのか、社会に出るまでの数年間の人間関係はこんなにも難しかったのだった、とはたと思い出した。嫉妬や不安をうまく隠せず、自分が世界の中心に居るかのような錯覚をしょっちゅう起こし、小さな失敗に世界の終わりが来た気分で挫けたりする。

自分が過ごした高校生活にとてもよ似通った部分が多く、ノスタルジックな気分な気分にしばし浸った。まだまだ昨日のことのように、その時の気持ちって覚えてるものだなぁとも驚いた。

by bookswandervogel | 2011-12-08 00:15


<< 「ハロワ!」      「犯罪」 >>