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2012年 02月 19日

「曾根崎心中」

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年末から出版が続いて、エッセイ含め角田さんの本が4冊並ぶという『角田光代祭り』状態が本屋の平台で見受けられます。
角田さんの新刊2冊読み終えたところで、違うものでジャブを入れよう・・・と思ったのだけれど、ええい!もうヤケだ!と4冊続けて読んでしまった。何を読んでも飽きさせないところが、この作家のすごいところ。

ひときわインパクトあるこの装丁。
タイトル通り、江戸時代・元禄期の大坂で実際に起きた、醤油屋の手代・徳兵衛と堂島新地の遊女・初の曾根崎心中事件を題材にしたもの。あらすじはなんとなく知ってはいたけれど、角田さんが描くとまた違った感覚で読めるのだろうと、その期待の方が大きかった。
お初の少女時代から、心情をていねいに描くことに終始している。遊郭に身を置くお初は幼い頃から、ここで生きる女達を目の当たりにし、自分の行く末もまた、と諦めに似た気持ちで日々過ごしていた。

あのひとに会うまでは。

十七ですでに老いて乾いていたお初は、徳兵衛と出会って、ほんものの娘へと変化してゆく。
死んでもいいほどの恋があるなんて、知らなかった。
観音様を巡って、恋の成就を必死に祈る。
この世のなかを、生きる価値のある場所に一瞬にして変えた徳兵衛。
その徳兵衛が巻き込まれた事件が、二人を曾根崎の森の中へ追い込むことになってしまう。

森の中、二人が来世で会ったときにどうしたらわかるか?と考えあぐねて 決めごとをする場面が、微笑ましくて、かわいくて、悲しいけどとても好きだ。
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by bookswandervogel | 2012-02-19 16:20


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