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2008年 09月 26日

「荒地の恋」

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とても変った小説だった。
登場人物がすべて実在し、しかも実名で出てくる。
主人公の北村太郎、鮎川信夫 そして酔いどれ詩人
として有名な田村隆一。
現代の詩人として記憶に新しい人達だけに、「よく書けたなぁ」と思ってしまった。
まるで見ているかのような 生々しい情景。

ねじめさんは覚悟して書いたのだ。自分達の時代を、そして自分の周りに居た愛すべき仲間たちを描くことを。
実際 念入りに取材をし、家族の気持ちを考え、登場する人物に書くたびゲラを読んでもらって・・。

    その真摯な努力があったからこそ、この小説の迫力があるのだ。
    「簡単に自由自由、というけど、自由に生きるってことは、こんなに大変なことなのか、
     っていうことがこの小説の中で一番書きたかったこと。」

     詩と死に常に寄り添い、53歳で自由を手にした 男の人生。

      モノをほしがる物欲、のほかに
      ココロをほしがる心欲、まで持っているから
      ヒトは怪物、なのだ   
                 ー 「すてきな人生」 北村太郎

    
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by bookswandervogel | 2008-09-26 23:45
2008年 09月 22日

「ロマンティック リハビリテーション」

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北は秋田、南は沖縄まで、懸命なリハビリをして生きる人々の
20の物語。
自分では想像もつかないほどの 厳しい病と闘う日々。

けれどこの本の中に納められているのは 宝物のような笑顔の数々。
びっくりしてしまった。 そして胸が詰まった。


脳梗塞で倒れた多田富雄さんの言葉。
「五体の半分の力を失った私のリハビリ闘争には
 まだ左手の指と言葉という武器がある 私を滅ぼすことはできない」

題名には「リハビリテーション」には似つかない「ロマンテイック」がくっついている。
なぜ?は読んだらわかる。「夢みる力」なのだ。

自分がいつか、心がずたずたに傷つくような病に直面したとき、
彼らの周りに居るような温かい人々に私も出会いたい。
「夢みる力」に導かれたい と、なにか眩しいものを見るように思った。
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by bookswandervogel | 2008-09-22 23:52
2008年 09月 18日

「本を読むわたし」

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華恵さんが4歳から14歳までの、本と結びついた大切なお話。
アルバムをめくると そこから思い出されるエピソードが誰にもあるように、いい思い出も 苦い思い出も そばにいつもある本が 彼女のそれを知っている。

 それよりも 何よりも。
彼女のまっすぐな目線。嘘のない文章。

読んでいると いつの間にか彼女の歳になって、一緒になって
喜んだり 傷ついたりしている。
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by bookswandervogel | 2008-09-18 00:31
2008年 09月 15日

「レモンとねずみ」

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石垣りんさんの未発表集。 
とても穏やかで いつも微笑んでいる  ひと
彼女を知る人達は そういう印象  だそう。


でも作品は いつも 身を切るような 痛み  
自分の弱さを 鋭く突く ことば。

あかるくて かわいい詩を ひとつ。

  「 虹 」

虹が出ると  みんなおしえたがるよ
とても大きくて  とても美しくて
すぐに消えてしまうから
ためておけないから
虹をとりこにして  ひとつ金もうけしようなんて
だれも考えないから
知らない人にまで
大急ぎで教えたがるよ
虹だ!
虹が出てるよ
にんげんて  そういうものなんだ
虹が出ないかな
まいにち
虹のようなものが
出ないかな
空に。
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by bookswandervogel | 2008-09-15 23:39