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2011年 12月 17日

「ハロワ!」

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ハローワークへ私は行ったことがある。
というのは、先日この本の話を一緒にしていた方は行ったことが無いらしい。
行ったことが無く、お勤めしているということは、一度も転職をしたことがないからだ。理想的。うらやましい。

ハローワークという所は、一度そこを利用すると、こんな国の機関があったのか!というほど、なかなかその内部の仕組みや使い方が複雑であったりする。
まずは登録して、パソコンで求職を出している企業を閲覧して、窓口で軽く身の上を話してから希望する会社を紹介してもらう。

各都道府県に何カ所もあるが、その土地によって建物や雰囲気が違うし、利用する人は老若男女、就職希望の人もあれば失業手当をぎりぎりまで貰いたいという人、相談員の方の個性も様々、一見しても何ともドラマティックなのである。
すごいところに目をつけたなぁというのが、まずこの小説の第一印象。

そのハローワークで就職相談員として働く沢田信(28歳)。
なんだか頼りなくて個性のない今どきな若者に見える新米の彼が、先輩方に失業者にと翻弄される。
彼を主人公としての連作短篇になっており、現代のご時世も相まってなかなかシリアスなお話が続くが、まだ『何者』にもなっていない彼が、物語を明るい方向へと導いている気がする。物語がすすむにつれ、彼の印象は徐々に変わってくる。

いわゆる社会的弱者が信の前につぎつぎと現れるけれど、なんの色眼鏡もかけてない彼だからこそ、拒むこと無く受け入れ、共に生きようとする。これぞまさしく久保寺健彦作品の真骨頂!
信が唯一の趣味として聴く音楽は久保寺さんの趣味?ヒップホップからテクノ、プログレにフォーク・・・と幅が広すぎる・・・。
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by bookswandervogel | 2011-12-17 00:45
2011年 12月 08日

「終点のあの子」

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都内にある中高一貫教育の女子校が舞台。
有名カメラマンを父に持つ朱里という女の子が高校から入学してくるところから物語は始まる。
誰とも群れず、自分の意見を常に持ち、クラスのどのグループとも仲良くできる朱里は、目立っていてだれもが気になる存在。
この朱里を中心としたお話かと思いきや、朱里からその周辺に話者は変わり、視点も変わる。

ひとりひとりを、章によってとらえるところを変えることで、各キャラクターのデスマスクに少しずつ肉付けをしていくような感覚を味わう。

例えば朱里のクラスメイトの恭子さんは、美人でスタイルも良く、彼氏が帰りに車で迎えにくるような、いつも取り巻きに囲まれるクラスの中心人物だが、他の章ではとても気が小さくて地味な性格の女の子の面を見せている。
人は多面体でできていて、また接する側の捉え方によっても、こんなに違う印象になるんだなぁと改めて感じた。

あの頃はこんなにも多感だったのか、社会に出るまでの数年間の人間関係はこんなにも難しかったのだった、とはたと思い出した。嫉妬や不安をうまく隠せず、自分が世界の中心に居るかのような錯覚をしょっちゅう起こし、小さな失敗に世界の終わりが来た気分で挫けたりする。

自分が過ごした高校生活にとてもよ似通った部分が多く、ノスタルジックな気分な気分にしばし浸った。まだまだ昨日のことのように、その時の気持ちって覚えてるものだなぁとも驚いた。
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by bookswandervogel | 2011-12-08 00:15