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2013年 07月 31日

映画担当参戦。

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またまた唐突ですが、「BOOKS WANDERVOGEL」は「BOOKS+CINEMA WANDERVOGEL」になりました。暇さえあれば、いや暇でなくとも映画を観ている映画担当者。彼が持つ手帳には観た映画の感想が、それはもうびっちり書いてあり、それがかなり面白そうなんだけれど、とても判読できない字で書いてある・・・。それを読みたいが為にスカウトしてみました。
本と映画、交代で好き勝手にぼちぼち書いていきたいと思います。

以下、担当。


この度イキナリこのブログの映画部門担当となりました。どの程度のヤツなのかを知ってもらうための情報として、2013年に映画館で観た映画109本(7/29現在)のベスト10、ワースト3を記させて頂きます。
ベストテン
1「バレット」(12)ウォルター・ヒル
2「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」(12)デレク・シアンフランス
3「ジャッキー・コーガン」(12)アンドリュー・ドミニク
4「奪命金」(11)ジョニー・トー
5「プッシャー3」(05)ニコラス・ウィンディング・レフン
6「ハードラッシュ」(12)バルタザール・コルマウクル
7「凶悪」(13)白石和彌
8「さよなら渓谷」(13)大森立嗣
9「欲望のバージニア」(12)ジョン・ヒルコート
10「カルト」(13)白石晃士
次「横道世之介」(12)沖田修一

「バレット」W・ヒル大復活!などと今更声高に叫びたくはないが、漆黒を基調としたいかにもなB級アクションなど今時どこに需要があるのだ!?と呆れ返る位のゴーイングマイウェイっぷりに泣けた。殺し屋と刑事が手を組んで凶悪犯を追うって図式は「48時間」まんまだしクライマックスでのスライと敵役の銃を捨てての斧での渡り合いは「ストリート・オブ・ファイアー」だ。どこを切ってもヒル印。新しい所全く無し!だけどこれでいいのだ!上映時間91分!流石!「プレイス~」物凄いイキオイで悪に染まり爆走してアッという間に前半40分で命を落とすR・ゴスリングのパートが強烈!レイ・リオッタの正しい登用法(扉の向こう側に彼が姿を現すだけで不穏な空気が流れる)を観るだけでこの監督の映画的資質が本物である事がわかる。そのリオッタがメチャメチャヒドイ目に遭いまくり挙句の果てにB・ピットに銃殺されるという「ジャッキー・コーガン」のボロボロで情けなくて金の事ばかり考えてる小悪党共のウダウダとした無駄話と右往左往をアメリカ経済を反映したオバマ大統領の演説と重ねるやり口のあざとさギリギリのクールさとラストのブラピのセリフから「MONEY」が流れるクレジットへの転換のカッコよさってつくづくオレが映画に求めるものなんだよなあ。「奪命金」も金に踊らされる人々の苦闘を皮肉たっぷりに描くトーの腕が冴えまくり!目を終始パチパチさせながら斜め掛けカバンと裾の短すぎるズボンとサンダルで香港の街を闊歩する情けに厚いヤクザを演じるラウ・チンワンを観てるだけで楽しい。「プッシャー3」これまた借金地獄に落とされた奴らの足掻きを描いたシリーズでどれも面白かったが1、2作目では主人公を苦しめるヤクの元締めが苦しめられる側に回る3作目が一番皮肉が利いてて面白かった。「ハードラッシュ」引退した名うての運び屋が家族の危機を救うため再びヤバいブツを運ぶ、というまたまたどこに需要があるのか!?と心配してしまう犯罪アクション。たまに俯瞰で捉えられるタンカーの勇姿にふとペキンパー「キラーエリート」を思う(ほめすぎか)。「凶悪」こういう実録犯罪モノに弱いのです。「さよなら渓谷」オープニングの昼下がりの気だるいセックス描写から扉を開けたらマスコミがブワ~って辺りの空気感、臨場感堪りません。だけどこのテンションが最後まで持続しないのがこの監督の限界でもあるんだよねえ。「まほろ駅前~」も凄く面白かったけどラスト退屈で寝たもんなあ。「欲望のバージニア」禁酒法時代のギャングの話が嫌いな男はいない!「カルト」大傑作「ノロイ」に比べるとだいぶ弛緩してるけどその弛緩ぶりがなんか味わい深い。「本当の戦いはこれからだ!」というセリフのあとドド~ン!とタイトルが出てエンディング・・・なんかそれだけで感動。「横道世之介」カット尻が長くて冗漫でテンポの欠片もないけれどのこの原作を映画にするならこうじゃなきゃいけない!

ワーストスリー(順不同)
1「96時間リベンジ」(12)オリビア・メガトン
1「ハッシュパピー」(12)ベン・ザイトリン
1「L.A.ギャングストーリー」(12)ルーベン・フライシャー
敵役の強さを全く描かないから全く盛り上がらない「96時間」最初の方にチラと映るネコがその後どうなったのか皆目わからない「ハッシュパピー」詰まらない映画に出ると単に締まらない長い顔の男にしか見えないR・ゴスリングの顔がこれ以上ないくらいに弛緩しきっていた「L.A.ギャングストーリー」どれも映画の神に見放されているとしか思えない腐臭漂う単純な意味での凡作である。大好きな作家がこんな程度では困るな~という意味でのワーストスリーは「華麗なるギャツビー」「ジャンゴ」「ゼロ・ダーク・サーティ」。

こんな出自の私がこれから観た映画の感想をこちらのブログに書いていこうと思っとります。御用とお急ぎのない方はどうぞご贔屓に。
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by bookswandervogel | 2013-07-31 01:11
2013年 07月 12日

「ここは退屈迎えに来て」

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普段から新しい物に飛びつけません。携帯を持ったのも人よりかなり遅く、スマホに乗り換える予定も今のところなし。きっと『新しいものに乗ってる自分』というのが、気恥ずかしいんだと思う。自意識過剰か。
けれど新しい音楽とおもしろい作家は、いつでもアンテナをびんびん立てて探していたい。

デビューしたてなのに「おお!」と思わせる作家さんに出会うとかなりうれしい。
この時ばかりは最先端に触れた気分を味わいます。
版切れとかの心配なく、始めからオンタイムでどんどん読めると思うとわくわくする。

この本は、読んだあとに「この素晴らしい作品に、なんて絶妙なタイトル..。」とその才能に惚れ惚れした山内マリコさんのデビュー作。
中途半端に都会の空気が流れて来てる 国道沿いだけやたらネオン輝く地方都市。
何色にもなりそうにない個性に萎れて、けれど自意識だけは高く、退屈を持て余す環境や、その土地での自分の未来がちらっと見えるのから目をそむけようとする女の子たち。

ショッピングセンターをティアドロップのサングラスをかけて、セレブ気取りで歩く二人の女の子の描写なんかは、読んでいて『イタイイタイ!イタイってば!』とウヒヒと苦笑いする場面だが、出てくる誰もが愛しく、かつての自分やつるんでいた同級生を、読んでいて幾度も思い出した。

連作の短編集で、椎名くんという男の子だけが全編に登場する。
彼は全国どこにでも居る、その土地限定で輝くヒーロー、学校に一人は居た身のこなしの軽やかなモテ男。
皆が共通に知っている人物で、彼だけ屈託ない幼少期からきらきらと輝く青春期、そしてお父さんと呼ばれる人になるまで時間を追って描かれ、全体の時間の経過とまとまりを与えている。
その手法がさりげなくてなんとも上手い!

吉田修一の『悪人』とか、地方都市を舞台にした作品は数多くあれど、こんなに女子のジレンマを嫌な感じを与えず、懐かしくて照れくさいような気持ちになるほどリアルに描かれた作品はないと思う。
私自身も地方で何年か暮した時期がある。夕方のショッピングセンター、あの無機質な建物に相反する背後のもりもり青々とした山々、またその後ろの泣きたくなるような夕焼けとかを思い出して、久々センチメンタルに浸った。
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by bookswandervogel | 2013-07-12 01:28
2013年 07月 02日

「ネオンと道具箱」

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長い間お休みさせていただきました。
そしてなんの前触れもなく、唐突に再開しましたが、ずっと元気にしています。
最近転職しました。相変わらず本がたくさん並ぶ職場ですが、見渡す限り英語だらけで戸惑っております。

スクラップブックの制作を30年以上続けている大竹伸朗さん。
続けているのではなく止められないらしい。とても大竹さんらしい。
『自分にとって何より大切なこと、それは単純につくりたいという気持ちが
自分の中で起きるかどうか、それに尽きる。』
意思や目的、義務感や努力、仕事といった事柄には全く程遠い。
ジワリと時にトロリと湧いてくる熱のような感覚。
とりとめのない、他愛のない出来事の中に、その熱がアッツイままじんじん隠されている文章が私はとても好きだ。

『「芸術」を意識することにどれだけの意味があるのだろう。
人は「芸術」を見たいのではなく、単純に自分と同じ人間が同じ時間の中で作った、
見たことのないとんでもないモノを見たいのではないか。』

彼の作品を見て「なんじゃこりゃ!?」と真っ先に思う感覚は間違っていなかったんだと確信した。
何かを見たい聞きたい触りたい体験したいという自分の中の衝動に驚き、
楽しいからやり続けることには絶対何かあるという確信を持ち、
目的のないモノはなんとなく苦手で、なんの役にも立たないと知りつつも毎日見る「夢」が変で面白いという理由から何年も夢日記をつけている。

役にたたないことほど面白いと言う大竹さんの文章はとても面白い。
毎日続けるとか、ライフワークにするだとかはなくノーコンセプトで好奇心の赴くまま
一万千八百十八ページもスクラップしてしまった人の言葉を、どこか無性に信じてしまう。
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by bookswandervogel | 2013-07-02 00:19