BOOKS WANDERVOGEL

bookwangel.exblog.jp
ブログトップ
2009年 04月 21日

「猫を抱いて象と泳ぐ」

b0145178_222705.jpg
チェスどころか、将棋や碁も知らない。
読む前に知識のカケラも無いので どうかな?と思っていたが、何の問題もなかった。
ただただ昔読んだおとぎ話のような、繊細で美しい文章に最後まで心地良く身を任せればよかったのだ。

出てくるのは チェスを教えた巨漢のマスター、大きくなり過ぎてデパートの屋上から下りる術を無くした象、壁の隙間から出られずミイラになった女の子、からくり人形の中でチェスを指す主人公の男の子。
誰の目にも止まらない、控えめでひそやかな彼らだけの世界。

ぽつりぽつりと彼らが登場しては 優しく温かい、けれど何かもの悲しさがつきまとい、予感を孕みながらラストを迎える。

駒を並べ、動かす手の仕草 それぞれの個性を持った駒の動き 次の一手を思慮深く考える顔・・チェスの対戦場面の描写がとても細やかで、まるで息をひそめて対戦を見守る観客になったような気分に浸れる。
[PR]

by bookswandervogel | 2009-04-21 23:21


<< 「咲くや、この花」      「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」 >>