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2009年 06月 06日

「火を熾す」

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たまたま見たNHKブックレビューで、大人達がこの作品の面白さを目をくりくり、わいのわいの言っているのが面白く、そこまで言うなら とまんまと乗せられて読んでみた。

アメリカ文学の巨匠と言われるジャック・ロンドンの残した200以上ある短編から、柴田元幸が9編選んで翻訳したもの。僅か40年のロンドンの生涯は小説のように波乱に満ちているが、その濃縮された『生』みたいなものが彼の作品には力強く描かれている。

訳者あとがきより。
『ロンドンの短編の終わり方は、個人的に非常に面白いと思っていて、時にはほとんど冗談のように、それまでの展開をふっと裏切って、ご都合主義みたいなハッピーエンドが訪れたりする。そうした勝利の「とりあえず」感が、逆に、人生において我々が遂げるさまざまな勝利の「とりあえず」さを暗示しているようでもいて、厳かな悲劇的結末とはまた違うリアリティをたたえている気がする。』

随分昔の作品なのに色褪せていないのはそこなのだろうか?
幻想的な作品は、その不思議な世界にふらふら迷い込んだと思ったら 出口ではなく、もと居た入り口にまた立たされていたりする。
他の作品も緊張感溢れる筆圧で読ませられ、結末の意外性はなくとも、その後訪れる静かな必然性にずっしりとした満足感がある。

太くて堅い、生への魅力に満ち満ちた短編集。 大人の意見を、聞いて良かった。
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by bookswandervogel | 2009-06-06 01:52


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