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2009年 07月 08日

「君が降る日」

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恋人の死をテーマに書いた表題作。
死に至るまでを書いたのはたった1ページ。
それからは残された彼女の 心の動きが丁寧に綴られる。

不慮の事故で友人を死なせてしまった五十嵐さんと、恋人を失った志保。
彼らは、ある時は互いを妬み、ある時は理解しようと歩み寄り、やはり離れるべき と距離を取り、何か答えが欲しくてまた求め合う。
失ったものが大き過ぎる。時が経てば風化はするけれど、完全に拭い去ることはできない。

賛否両論ありそうな行動をとる五十嵐さんだが、他の2つの短編に出てくる男の子は、私にとっては出来杉くん(←『ドラえもん』に居たでしょ?)にしか見えない。
五十嵐さんは 暗くて まじめで 迷ってて 弱くて 甘えてて ずるい。
彼の発言や行動はいちいち嫌なのだけど、いけすかないのだけれど、なぜか解ってしまう。

「野ばら」という終わりの短編で、谷川俊太郎の詩を引用しているが、「君が降る日」にもつながっている気がする。
 
      ほんとうに出会ったものにわかれはこない
      あなたはまだそこにいる
      目をみはり私をみつめ くりかえし私に語りかける
      早すぎたあなたの死すら私を生かす
      はじめてあなたを見た日からこんなに時が過ぎた今も   

                         『あなたはそこに』
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by bookswandervogel | 2009-07-08 00:43


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