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2009年 07月 28日

「薬屋のタバサ」

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『過去の時間を呼吸しながら生きているような』町の薬屋の店主タバサ。そこに、これまで生きて築いてきた現実の世界の住人だった自分を すでに消そうとしている女・由実が転がり込む。

町のほとんどの人の出生届と死亡診断書をタバサが書く。
「大丈夫ですよ。この町の中だけで生きてきたのですよ。私も、この町の、ほとんどの人たちも。」

生きて、今ここに存在する誰かと濃密に触れ合う。そんなことは二度とできないと思っていた由実に、タバサは 町の人たちはしずかに浸透してゆく。
けれど由実はタバサに聞く。
「世界は、ほんとうに存在しているのかどうか、疑問に思うことはありませんか?」
自死したタバサの母が残した たった二行のメモ。
「なにもかも、夢であるように思えます。どうしても どうしても」

タバサの家にある池は 埋めても埋めても埋まらない。
どろんとした池の水のような 過去の重さが町に、人に漂う。
夢かうつつか・・という世界を東直子独特の文章で惹き付ける。
装丁はかわいらしくPOP。だけどタバサは女でなく男。
見た目や絵本のようなタイトルとのギャップに おお・・!?となるかも知れない。
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by bookswandervogel | 2009-07-28 01:21


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