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2009年 08月 12日

「終の住処」

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2009年上半期、141回芥川賞受賞作。
芥川賞は作品はもちろんですが、わりと作家の人物像に目が向けられます。
この方はエリートサラリーマンと作家業を兼業ということで巷で今話題です。そして面がイイと顔写真をババーン!と出すのも最近のやりかた。その作品や、いかに。

ーある男と女が三十歳を超えて結婚する。
ある時 家族で遊園地に行き、妻はそれきり11年 口を利かなかった。ー

終始 男の独白がつづく。
すべては過去の出来事。
主人公の男は何もせず、徹底して受動的。
だだっぴろい劇場に座り、過ぎ去った時間 過ぎ去った懐かしい出来事、現実に起こったのかどうかわからない原風景など繰り広げられる劇を、時にあたたかく、時にせつない気持ちで一人淡々と眺めているかのようだ。

「ああ、過去というのは、ただそれが過去であるというだけで、どうしてこんなにも遥かなのだろう。」
人生の幸せ 不幸せに関係なく、流れていく時間。
過去に守られた男は常にあきらめたような、疲れたような印象だが、総じて楽観主義。
悲劇的に描かれてはいるが、案外悪くない人生だったのではないだろうか。 
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by bookswandervogel | 2009-08-12 01:35


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