BOOKS WANDERVOGEL

bookwangel.exblog.jp
ブログトップ
2009年 08月 24日

「静子の日常」

b0145178_0582572.jpg
静子は75歳のおばあさん。
夫に先立たれ、息子夫婦と孫と暮らす。
70過ぎて水泳を習い、色白で真っ白な髪に合わせてすみれ色の水着を着て、おいしいお茶を淹れられる。おっとりしていて さっぱりしていて よけいなことは言わない。人が決めたことについてはそうでもないが、自分で決めたことはぜったいに守る。

そんな静子の取るに足らない日常。
「取るに足らない」は調べると「問題として取り上げることも無い、ささいなこと」とある。

日常なんて、取るに足らないことばかりだ。
前へ前へと進んでいく日々なんてあり得ないし、何かをやればやるほど満ち満ちていくようなものでもない。なんてことない事柄や たわいもない事に笑ったり泣いたり 心動かされたりしているんだったっけ、と静子の日常を見て思い出した。

静子はある日、長く想ってきたひとにふと、30年ぶりに会いに行く。
愛でも恋でもなく ときめいたりもしない けど二人の間に流れる空気や時間はあったかくてせつない。
静子は日々いろんなことを丁寧に思ったり、感じたりしている。
歳を取るということがどういうことかまだうまくわからないけれど、まだ若い時には深く感じ得なかったことを、時が経って、感覚が鋭くなって けれどそれを前に出すこと無く、自分の中で深くふかーく感じ入ることができたらすてきだと思う。

「若くはないけど、新しい歌を知ることはまだできるんだわ。」
歳をとるのがちょっと楽しみになるよな、すてきなおばあさんに会いました。
[PR]

by bookswandervogel | 2009-08-24 02:01


<< 「半島へ、ふたたび」      「骸骨ビルの庭」 >>