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2009年 09月 21日

「光」

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『そのさきは無だ。
真っ暗な闇が広がるばかりだ。
境内から集落につづく斜面も、海岸沿いにあったはずの集落も、黒々と塗りつぶされている。灯りはひとつ残らず消えた。』

そして朝が来る。

『光がすべての暴力を露にした。』

島を襲った津波によって 何もかもを失った幼なじみの3人。
身近な人々、毎日疑問もなく目にした光景が陰惨なものに変わってしまう瞬間を目にした彼らの「生」というものの価値がぐらりと揺らぎ、「死」が急速にぴったりと寄り添う。
生きている限り、それが無くなることはないのだ。
無かったふりをしてでも、生きていく。

読んだ後には波に何かをさらわれたような虚無感が漂う。
日常にひたひたと迫る冷たさが 淡々と綴られて怖い。
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by bookswandervogel | 2009-09-21 00:36


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