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2009年 09月 25日

「水曜日の神さま」

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角田さんの旅中心のエッセイ。
書く=旅する、どこかを旅すれば小説が書ける、という時期があったそうだ。けれどいつしか書くことと旅することは、ゆっくりと切り離されてゆく。

角田さんの旅はいわゆるバックパッカーで、安く行ける場所にお金を少しづつ使って長く滞在する、というもの。勢いがあり、時間だけはたっぷりあって、一人でも全然寂しくない。苦々しい出来事もなんだか笑って許容できる、そんな旅だったのだろう。
旅だけじゃなくて、時を経るにつれていつの間にか変化している感覚って、誰にでもある。
自分の目でとらえたものを書こう、見えないものは書くまいと思っていた彼女はもはや、旅先で何か言葉をひねり出すことをしなくなった。
見開いた目に飛び込んできた光景は、言葉に変換されず、ただゆっくりと彼女の内に沈殿する。

「私が旅を愛するのは、自分というものがけっして普遍的な存在ではない、と知ることができるからである。」
「見慣れた場所で昨日のくり返しのような日を送るのも、果てしない旅の一瞬である。」
この部分に痛く共感。
私たちの日々の暮らしは 果てしのない あたらしい たび。
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by bookswandervogel | 2009-09-25 00:38


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