2010年 02月 19日
『象の消滅』に続く、ニューヨークで編集された英語版と同じ構成の自選短篇集。 前回はハヤカワポケットミステリのようなレモンイエローだったが、今回はスモーキーピンク。 装丁の格好良さ、値段の安さで群を抜いてるなぁと思う。 イントロダクションで『長篇小説を書くことは「挑戦」であり、短篇小説を書くことは「喜び」である』と語っているように、読むこちら側も長篇に挑む時とは全然別で、村上さんに「どうぞ楽しんでいってくださいねー」と扉を開かれているような気軽さがこの短篇集にはある。 外国の読者に向けて編集し直されたもので、もとは日本人である村上さんが日本語で書いたものなのだけれど、この人の作品はどこか逆輸入された感じ 翻訳モノを読んでいるような感じになるのは私だけではないだろう。 「バースデイ・ガール」は六本木で働く日本人の女の子の話だけれど、何度読んでもニューヨークか何処かの街で働く目の色の違う女の子のイメージが浮かぶし、本邦初出で話題の「蟹」で出てくる、 「なるほど」と彼は言った。 「人生っていうのはけっこう恐ろしいものなんだ。」 「そのとおり」彼女は言った。そして悪戯っぽく人差し指を立てた。 「人生はけっこう恐ろしいものなの。あなたが考えているよりもね。」 なんて会話は日本人はしない。 こんな会話をしている人が居たら相当いけ好かないけれど、村上作品を読んでいるとこの微妙にズレてる感じが心地良い癖になってくる。 「1Q84」で初めて村上春樹を読んだ、という人に勧めたい さくさく読み楽しめる一冊。
by bookswandervogel
| 2010-02-19 23:55
|
アバウト
カレンダー
カテゴリ
以前の記事
2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||