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2010年 03月 15日

「橋」

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日本海に面した北国で、高度成長期に青春時代を過ごした二人の女性。時代の狂乱の中、なんとかもがきつつ自分の立ち位置を確保してきたその二人が母親となり、今度はその娘達が、バブルが崩壊し国全体が停滞する時代に生きることになる。
そして必然か偶然か 二人の娘が起こした事件とは...。

その時代背景や、地方都市の成長と衰退を淡々と語る文章はどこかドキュメンタリーのようだ。作者の文章には誰への批判もなく、起こった出来事に嘆くこともない。
読んでるこちらは、少しずつずれていく 転落していく展開に途方に暮れる。
なぜそんなふうになってしまうのか?どうしてうまくいかないのか?
時代や社会の犠牲者、というのは浅はかだ。けれども作者が描いたどんよりした空気を孕んだ倦怠感が読んでいる間、ずっとつきまとう。
誰も彼も そのどんよりから抜け出せない。

橋にひざまずき、川に向かって娘の名を呼ぶ母の姿だけが、強烈に胸に残った。
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by bookswandervogel | 2010-03-15 00:48


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