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2010年 06月 26日

「フリン」

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椰月さんは『体育座りで、空を見上げて』『しずかな日々』など児童文学の分野で思春期特有のモヤモヤを、海面に光るキラキラのように描き、『みきわめ検定』『枝付き干し葡萄とワイングラス』では男と女の逃れようもない性をドロドロドローッと描く。
白と黒 両刀使いで「今度はどっち?」と毎度楽しみな作家さんである。

そして今回はブラックな方の椰月さん。
友人から「思わず破り捨てたくなる小説!」と聞いていたので身構えたけれど、読んでみると、嗚呼・・人はいくつになっても好きになったら淋しがりでどうしようもない・・・と弱さを肯定する側に立っていた。

テーマがテーマだけに背筋がぞわっとする話もあるけれど、置かれてる状況、環境を差し引いたら とても純粋な恋愛小説ともとれる。恋をした人の相手に対する視線などが、とても初々しく可愛く描かれていたりする。
同じマンションに住む登場人物たちが、お互い会ったら普通に「こんにちはー。」と挨拶する姿が目に浮かぶ。何もない平穏な日々を暮らしているようでいて、それぞれに抱える問題、解決の仕方は違ってくる。
個々の人生の複雑さ、面白さを魅せてくれる作品。
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by bookswandervogel | 2010-06-26 00:57


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