2010年 07月 17日
東さんの最新長篇。 今まで短編、中編が多く、ここまでどっぷり東ワールドに浸れることはなかった。 何かに押さえつけられ、自由は無く、自分の名前さえも与えられない。椅子の部屋、地下通路、砂の街・・・行く先々で「私」は「私」でなくなり、記憶さえ奪われていく。 「私」が変えられていっても失われることのなかったものは、確かに誰かを愛したという微かな感覚。 「自分が自分らしくある」ということ、「愛すべき対象が居る」こと。 どちらかしか選べないのだとしたら、人にとってどちらが生きていく上で必要なんだろうか。 愛すべき、守るべき者が居ない世界は いったいどんな暗闇だろう。 雲をつかむような、いつか見た夢をなぞっているかのような この不思議なお話を読んだあと残るものは、意外と深くて普遍的な間い。
by bookswandervogel
| 2010-07-17 00:57
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