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2010年 10月 17日

「砂の上のあなた」

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直木賞受賞後、第一作は非常に人と人とが入り組んだ、読みながら「むむむ・・・」と絡まった糸をひとつひとつほぐしていく作業を必要とする難解な作品。
けれど読んだ後の強烈なイメージを表現するならば、大きな「うねり」。
ゴーッ音をたてて大きく脳裏を旋回する「うねり」だ。

主人公の美砂子はある日亡き父の遺した手紙から隠された事実を知ることになる。
父の強い執念から、美砂子の奥深く埋め込まれた人生や運命がゆっくりゆっくり交錯し始める。

美砂子をはじめ登場人物は誰もが、時を経て流れるように心が移ろってゆく。誓った言葉も、長く培った関係性でさえも飛び越えて、移ろいに心も体も委ねる。
変わらないものは「変わらないでいてほしい」という思いだけなのだろうか。そもそも「変わらない」ということはそんなに美しく尊いものであっただろうか。

果てしなく繋がる関係の中で、美砂子のとった行動に危うさを感じずにはいられない。
けれどどんな人もその時その瞬間に感じた自分の選択の正しさを信じて行動するしか方法がないのだ。
繋がりの不思議、運命の不思議を見せつけられた私も大きなうねりの一部だと気付いてまた、呆然とさせられる。
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by bookswandervogel | 2010-10-17 02:52


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