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2010年 10月 25日

「なくしたものたちの国」

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著者の角田さんは普段からなくしものが多いのだそうだ。
私はどうかな・・?と振り返ると、だいたい物持ちが良い方だが、ある一部の物(傘とかピアスの片っぽだとか)は「あれ?」と気付いた時にはもう手元からなくなっている。

なくした瞬間の記憶すらない。
物なら「どこで?」「あそこに置いてきたかも?」と記憶を手繰るけれど、果たして昔あれほど仲が良くて いつの間にか全く会わなくなってしまったあの人をなくした瞬間はいつだったのだろうか?

この連作短編集は、主人公のナリちゃんが成長しながら、同時にいろいろなものをなくしていく物語。
かんむりをなくしカメラをなくしお財布をなくしおばあちゃんをなくし自分をなくし娘をなくし・・・。
生きてゆくことは何かをなくしてゆくこと?と思わずにはいられない。ナリちゃんと同じくらい、私達は何かをなくしてここまできている。

小さい時にいちばん自分を理解してくれていた山羊のゆきちゃんが再び現れ、ナリちゃんに『忘れちゃってもいいのようー』と語りかける場面は、もう二度と会わないあの人に言われているようで、少しだけ肩の荷が下りる気がした。
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by bookswandervogel | 2010-10-25 23:50


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