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2011年 01月 09日

「民宿雪国」

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『民宿雪国』の主・丹羽雄武郎にまつわるプロローグを挟み、しょっぱなから非常に暴力的なシーンと猟奇的な殺人場面が勢い付けて押し寄せる。

けれど次の章からは一転、彼はたまたま民宿に訪れた客に生きる勇気を与え、続く元従業員の回顧録では寡黙な清廉潔白な苦労人の恩師となっている。寂れた民宿の主、という顔は仮の姿なのか?プロローグにある「国民的画家」とは誰のこと?いったいこの話はどこへ?と思っていると、丹羽の人生を物語る章が始まる。

丹羽が関わる者によって姿をころころ変え、また実は『雪国』は昭和を代表する実際に起こった様々な事件とリンクしていた!という展開は面白く読めたけれども、後半部分多くを割いた丹羽の戦争が深く絡んだ半生と、前半部分の物語との繋がりがよくわからず、小説としてのまとまりに欠ける感じがした。

丹羽という人物の虚と実が入り交じり、結局最後まで真相は掴めない。
非常に説明のしにくい、また評価の分かれやすい作品だと思う。
いきなり4速入れてトップスピード!な勢いは著者ならでは。
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by bookswandervogel | 2011-01-09 23:39


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