2011年 05月 19日
電子書籍が今よりもっと世の中に浸透しても、本は無くならない、と断言できる。 私自身がアナログ寄りだから、という訳ではなく、やはり「本好き」は実際手に取る「本の手触り」と「本の存在感」が好きなのだ。 さてこの本は、人に招かれてその家の本棚を偶然目撃するような(さりげなく、でもじっくり見てしまう)、いわゆるフツーの本屋ではなく、店主のカラーがしっかり出ている編集された本棚を端から端まで見て、その謎を解くような、そんな本である。 クラフト・エヴィング商會は作家であり、装丁も手がけるデザインユニット。装丁デザインをする人たちなのに、出てくるのは本の背表紙ばかり。 けれどその本棚の『編集』のしかたに魅力があり、細いけど味のある背表紙を眺めてはわくわくする。 本屋に行って本棚を眺めるとき楽しいのは、この出会いの妙なのだ。 これは電子書籍には無いし、ネット書店でも出会えない。 欲しかった本を探し、その隣にある本もついでに眺めていく。 またはジャンルごとではなく、コンセプトを持って編集された棚を見ると、同じ本でもまったく別の本のような魅力が新たに見えてくる。 『いつでもそこに「読みたい」が並んでいるのが本棚で、その愉しさは、読まない限りどこまでも終わらない』 この部分を読んで、なんだか毎日の本屋の仕事に、ぴゅーっと素敵な風が吹いてくるかのようでした。 いつもとちょっと趣向の違う装丁だからか、従来のクラフト・エヴィング商會ファンだけでなく、幅広い層の人に手に取られてる気がします。
by BOOKSWANDERVOGEL
| 2011-05-19 23:58
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