BOOKS WANDERVOGEL

bookwangel.exblog.jp
ブログトップ
2011年 11月 25日

「犯罪」

b0145178_0224084.jpg
ドイツでも屈指の刑事事件専門の現役弁護士が書いた小説。、
自身の事務所が扱った事件をベースにした、この連作短篇集がデビュー作となる。

全体に無駄をかなり省いたクールな筆致。事件は突然に それこそ後ろからふいに殴られたようにガツンと重く衝撃的で、対照的に事件にまつわる人の心の闇がひたひたふつふつと染み出すように描かれている。そのリズム感と、事件の衝撃は大きいのに静けさが漂うような雰囲気がとても魅力的。

人の持つ奥深い闇の部分。または自分が持っている考えの裏の裏。
こうなれば→こうなる という画一化された推理や仮説を、違う視点から見せることで、読んでいる者の心の中までざわざわと禍々しくさせる。こんな感覚が自分にもあったのかも知れない、と少し不安にさせられる。

トリックのあるミステリではなく、ただ淡々と犯罪は起こり、語られるのは犯罪者の人生。
悲惨で猟奇的なシーンもあるにもかかわらず、なぜか心を動かされる この独特の空気感は他に似た作家を挙げられない。
今年の翻訳ベストミステリにもランクインするのではないだろうか?来年発売予定の第二短篇集も楽しみ。
[PR]

by bookswandervogel | 2011-11-25 01:22


<< 「終点のあの子」      「オリンピックの身代金」 >>