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2008年 09月 26日

「荒地の恋」

「荒地の恋」_b0145178_23354242.jpg
とても変った小説だった。
登場人物がすべて実在し、しかも実名で出てくる。
主人公の北村太郎、鮎川信夫 そして酔いどれ詩人
として有名な田村隆一。
現代の詩人として記憶に新しい人達だけに、「よく書けたなぁ」と思ってしまった。
まるで見ているかのような 生々しい情景。

ねじめさんは覚悟して書いたのだ。自分達の時代を、そして自分の周りに居た愛すべき仲間たちを描くことを。
実際 念入りに取材をし、家族の気持ちを考え、登場する人物に書くたびゲラを読んでもらって・・。

    その真摯な努力があったからこそ、この小説の迫力があるのだ。
    「簡単に自由自由、というけど、自由に生きるってことは、こんなに大変なことなのか、
     っていうことがこの小説の中で一番書きたかったこと。」

     詩と死に常に寄り添い、53歳で自由を手にした 男の人生。

      モノをほしがる物欲、のほかに
      ココロをほしがる心欲、まで持っているから
      ヒトは怪物、なのだ   
                 ー 「すてきな人生」 北村太郎

    

by bookswandervogel | 2008-09-26 23:45


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